魔女旅に出た、その途中
昔、埼玉だか栃木だか群馬だか忘れてしまったのだが温泉に行ったんですよ、たぶん栃木だと思うけど
そこで自分より一回り上じゃないくらいの女がいたわけ
人の心に入り込むのが上手かったのか、寂しかったのかすっかり意気投合したわけ
知らない人についてっちゃだめっていう教えを忘れてね
お互いの素状も明かさずに
サッカーだかなんだかの中継が終りに差し掛かるころに、酒が進んだせいもあってうとうとしてきたところに
女はおれの鼓膜が破れんばかりに耳元に接吻
目が覚めたときの天気は今日の朝に似ていた
魔女の旅はおそらく終わっていないが、あのとき耳の汚物以外の大事な何かを吸われていないか時折心配になる
・・・群馬だったかも